自律神経系魔法使い群。
…昨日、仕事から帰ってきたら、くしゃみはするわ熱っぽいわで、なんだか体調が
思わしくなかったのである。
「あー、風邪ひいた。…ハ、ハ、ハックション!」
ボワーン!
「…呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「わ、わ、あんた誰だよ?」
「ハクション大魔王でおじゃるよ」
「ああ、あの有名な!そんなしゃべり方だったっけ?」
「資料なしでおじゃるよ」
「そうなんだ…悪いけどさ、風邪ひいてるみたいなんだ。帰ってくれる?」
「せっかく出てきたから、得意の魔法でご主人さまのために働きたいでおじゃるよ」
「いいよいいよ。ズー。じゃあおやすみ」
「身を粉にして働くでおじゃるよ」
「風邪薬飲んだから眠いんだよ、寝かせてよ」
「馬車馬のように働くでおじゃるよ」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「千鳥ぐらい働くでおじゃるよ」
「微妙だなあ…いいから、帰ってよ」
「残念でおじゃる…さよならのあいさつ、ジャンバラヤ!」
「『ジャンバラヤ!』ってなんだよ…とにかくやっと帰ったか。眠い。フア~ア」
ボワーン!
「…呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「わ、また変なの出てきた。…きみ、誰だよ?」
「アクビちゃんだレム!」
「ああ、そんなのもいたね。そのしゃべり方ももちろん…」
「資料なしだレム!」
「やっぱり。せっかく出てきてくれたのに悪いけど、だるいから帰ってくれる?」
「そーんなー!得意の魔法でご主人さまのために働きたいレム~!」
「だから、別にいいって…ゴホゴホ」
「…ノンレム?」
「いや、意味わかんないし」
「わかったレム。帰るレム~!」
「…レムレム言いやがって…ヒック!いけない、しゃっくり始まっちゃったヒック!」
ボワーン!
「…呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「ヒック!…今度は何だよ!…ヒック!」
「しゃっくり大魔王だケイレン!資料なしだケイレン!」
「いやまだ訊いてないし!そんなのいるのも知らなかったし!」
「いつも君のクラスの一番うしろにいるケイレン!」
「そりゃパーマンでしょう?…ヒック!…とにかく、あんたは何だか使えそうだよ。
このしゃっくり止めてよ…ヒック!」
「しゃっくりは私のレゾンデートルだから、その頼みはいかんともし難いなあ…」
「なんで急に素なんだよ!」
「まあ、ご主人さまのためならしょうがないケイレン!しゃっくりをなおす呪文を
唱えるケイレン!…OH!カクマック!」
「何て安易な呪文なんだ…あ、でも、しゃっくり止まったみたい…ありがとう、
しゃっくり大魔王!」
「お礼は見てのお帰りだケイレン!ジャンバラヤ!」
「流行りかよ!…取り合えず、これでようやく…眠れる…グウ」
ボワーン!
…眠っているあいだ、熱に浮かされもうろうとした状態で、僕は「魔女いびき」とか、「歯ぎしり大魔王」とか、「ねごと王子」とか、KANA-BOONとかが次々と現れては消えるのを見たような気がするが、そんなことはもうどうでもいいのだおやすみなさい。