回転空転フルスロットル。

沖縄の会社員の日常の空回り+酒とごはん+富士山登頂を目指すブログです。

プロローグのようなもの

 ジューシーな鶏の唐揚げをよく冷えたハイボールで喉奥に流し込む。

 

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 ―週末がはじまった。

 酒を飲んだ瞬間に周りの空気がふっとゆるむようなあの感じが好きだ。世界が一段階やさしくなったような気もする。

 僕も先刻より一段階ゆるんだ顔で周りを見回せば、那覇市久茂地の洋風居酒屋は結構な混みよう。笑ったり食べたり熱弁したり。酔客はそれぞれに忙しい。

 鶏の唐揚げは部位ごとに食感の違いを味わえるように計算され提供されている。モモの程よい弾力。砂ズリの歯応え。セセリの柔らかさ。口の中の多様性をまたハイボールで流し込む。

 41歳になった。

 20代の頃から変わったこと。タバコをやめた。サスペンスよりノンフィクションを読む。新書を買う機会も増えた。連ドラはほとんど見なくなり、「報道ステーション」から「ニュース23」への継投は定番。生きてるだけで太っていくけど、マックやモスは相変わらず食べちゃう。それにしてもこの間、尾田栄一郎先生はずっと最高潮だな。
 
 酒は変わらず飲む。ジャパニーズウイスキーの人気高騰を誇り、その余波の販売休止に消沈した。クラフトビールの味を知り、世界が界王拳5倍的に広がった。麦ってすげえな。あ、キャバクラから足が遠のき、スナックに足が向くようになった。男はオッサンになると「ママ」が増えるよな。そんなアホなことも思う。

 

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 年齢を重ね、食と旅への興味が高まった気がする。食べたことがない料理や食材を食べ、見たことがない風景や建造物、人の営みやパフォーマンスに出会うことにすごく価値を感じる。はやりの「モノ消費からコト消費へ」。これが「大人」ってやつなのかも。

 この年になると、国内もある程度るるぶった(「るるぶ」の動詞)ので、好奇心が前よりとがってきたことを自覚しつつある。なかなかできないエクストリームな体験を、いつもどこかで探し求めているのだ。

 そんなことをつらつら考えていると、スマホにラインの通知。これも20代の頃から変わったことだな。中学高校の友人でつくる男だらけのグループライン「琉ドコ」。山畑という男が投稿したメッセージを開く。

 

というわけで、今年も富士山チャレンジを行います。日本一高い場所から日本一の日の出と雲海を見に行きませんか」。

 

 富士山

 それは、富士登山の呼び掛けだった。

 山畑…たしかあいつ、おととし富士山登頂に成功していたっけ。

 

 富士山か。

 

 ―なかなかエクストリームじゃないか、山畑。胸がざわりと騒ぐ。興奮した僕は、思わず手元のハイボールをあおった。そして絶句した。

 

 ―何だこれは。運命めいたものを感じるぞ。

 

 その瞬間、僕はこの夏、富士山へ登ることを決めたのだ

  

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 「富士山麓ハイボール