白昼の白い悪魔に白紙を差し出せ
恐怖体験をした。
十字路には悪魔が潜むという。
僕は悪魔に出会ったのかもしれない。
ある昼下がり。僕は仕事で人通りが少ない名護市内の住宅街を歩いていた。歩いて行ける範囲にコンビニは無く、賞味期限すれすれを綱渡りする飲食物を販売しているスーパーが1つ。そんな街だ。
遠く国道を通過するダンプカーの音が聞こえる。そのせいか少しほこりっぽさも感じる。視界のなかに動く物は無く、時間が止まったような気分になる。
そんな街で、瓦もあらかた飛ばされたような、くたびれた木造の廃屋の前を通過しようとした時だ。
ふと、何かに見られたような気がして、思わず足を止めた。辺りには人の気配も車の気配もない。一陣の風が吹く。背中に視線を感じる。僕はゆっくりと振り返る。
そこに、ヤツはいたのだ。
ヤツじゃなくてヤギだった。