回転空転フルスロットル。

沖縄の会社員の日常の空回り+酒とごはん+富士山登頂を目指すブログです。

ドナドナが聴こえる~家畜を手に入れよう~

 和牛のオーナーになりたい。私は家畜を飼うのだ。

 

 ―なぜか唐突にそう思ったあなたに、沖縄で実現可能な、夢がある話を紹介したい。もちろん、ひところ全国的にはやって経営破綻した安愚楽牧場和牛預託商法なんかよりよほど健全だ。

 

 沖縄の離島や、やんばる(山原=本島北部)に行くと、村祭りなどのイベントで黒毛和牛1頭やヤギ1頭など家畜が当たる抽選会が普通に行われている。

 

 9つの有人島でつくる竹富町の黒島では毎年2月に「黒島牛祭り」が開かれている。人口200人強に対し牛3000頭いる人より牛が多い島で、競り市場もあって畜産が主要産業だ。祭りでは「牛の体重当てクイズ」や「牧草ロール転がし」など独特のイベントで盛り上がる。そのメインイベントが、牛一頭が当たる抽選会なのだ。

 抽選券は石垣港ターミナルで買える。往復乗船券とセットで大人2900円。この日は島に約3000人が来島するので確率は3000分の1だ。近年は各地の震災の影響で子牛が値上がりしているため、子牛だって70万円はする。3000分の1の確率で70万円なら、そこそこ夢がある話ではないか。

 

 こんなイベントもある。本島北部の今帰仁村では毎年4月に「マジックアワーRUN」というハーフマラソンが開かれる。屋我地島と古宇利島を結ぶ「古宇利大橋」という絶景を夕暮れの時間に走る人気の大会だ。

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古宇利大橋

 そんなマジックアワーRUNのお楽しみは走った後のふれあいパーティーの抽選会。ゼッケン番号が抽選番号となり、村特産のスイカやマンゴー、航空券が当たったりする。そしてこの抽選会の目玉賞品も、ヤギ一頭なのだ。ヤギを食べる習慣がある沖縄では食肉として流通していて、1頭7万円程度で取引されている。

 

 このハーフマラソンの参加費用は4500円。毎年3000人強の参加がある。しかも大半のランナーは完走後、ふれあいパーティー前に帰ってしまうので、実質1000分の1以下の確率になる。1000分の1で7万円。実に夢がある。もう走らなくていい。ふれあいパーティーでヤギだけ狙えばいい

 

 ちなみにヤギはランナーが走っている間、会場に賞品として展示されている。じつにもの悲しい気分になれる。エモい。

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 もしあなたが幸運に恵まれ、牛やヤギを手に入れたらどうするか。そもそも飼うのか。うちの庭にそんなスペースはあるのか。ご近所から苦情は出ないのか。解体するのか。どこで?誰が?…ちょっと待って、私そもそも大阪から参加したんですけど。そんな人には何が待っているのだろうか。

 

 ―そう、換金である。

 

 当たった人には地元の畜産農家が複数人、そっと近づいていって「どうする?●万円でいい?」「●万円まで出すよ」と話しかけるのだ。そうして牛もヤギも再びその地域に残り、そのうち出荷されたり親戚一同で消費されたりするのだ。かくして当選者の手元にはキャッシュだけ残る。夢しかない。

 

 ところで、抽選に当たる→近場で換金

 

 …何かに似てるよな、と思って気づいた。これパチンコだ

 

 急速に夢が無くなった気がする。